鉄道業界への就職を目指す方へ:鉄道会社のエントリーシート(ES)と採用面接の体験記

のぞみと富士山
ポイント 本記事は鉄道業界への面接体験記です。(なお、私が内定をとったのは”私鉄”です。)

 

サマリー

・応募先:上位私鉄、JR東海、JR西日本
・応募形態:運輸・事務系応募(自由)/JR西日本は技術採用への応募
・学歴:旧帝大・大学院修士課程 新卒採用
・結果:私鉄ー内定(辞退)、JR東海ー学内選考落ち、JR西日本ー選考辞退
・就活環境:就職氷河期(リーマンショック)

 

筆者の(勝手な)分析

フォーマルな情報は、四季報を見て下さい。
とりぞーの勝手な情報を、お伝えします。

 

JRと私鉄で「カラー」が全く違う

JRと私鉄では、カラーが全く違う印象を受けています。

 

業界的に「堅い」のですが、そのなかでも

JRは、「とくに秀でた人物」を欲しがる傾向。ただし、やや上から目線を感じる。

私鉄は、「堅守」と「世俗的」を両立するバランス感覚を重視する傾向。

という違いがあると思います。

 

なぜ違いが出るのか、についてですが、業態が似て非なるものであるからです。

 

JRはあくまでも運輸主体であるということ。

そこにまつわるエコシステムは、あくまで副次的という立ち位置。

特にJR東、東海、西は、新幹線や首都圏/関西圏の運輸売上が大きく、鉄道だけで飯が食える状態にあるからです。

 

一方の私鉄。沿線開発などのまちづくりが主体です。

ご想像の通り、JRに比べて営業距離は非常に小さいですよね?鉄道だけではご飯を食べていけません。

沿線にデパート、宅地開発、ロジスティクス、観光施設、など、あらゆるサービスを提供するのが、私鉄業です。

もちろん運輸の売上規模が最も大きいのですが、多くの鉄道企業は、まちづくりがあっての鉄道業という位置づけになります。

 

ポイント  JRは運輸主体で、私鉄は巨大なエコシステムを形成。両者は大きくカラーは異なる。

 

総じて、高倍率 である

私がリーマンショックの時期だったからかもしれませんが、ものすごい高倍率でした。

 

私が内定を獲得した私鉄で、応募した職種の採用予定人数は2名に対して、一次面接時点で500名以上の応募が殺到していました。

エントリーシート段階で考えると、おそらく更に人数は大きかったかもしれません。

 

JRも同様です。ただし、一部の会社はリクルーター面接となります。

 

JR系はリクルーター面接で絞り込み

JR系は、リク面がありました。

喫茶店で面接した記憶があります。

結構ざっくばらんにお話をした程度ですが、主に学業面での取り組み、また学業以外で頑張ってきたこと、の二本立てです。

 

JR東海の場合は、特に秀でた人を取りたいようです。(そう言っていました)

私はそれほど学生時代に特筆すべき業績もなかったので、ここでおさらばでしたね。

 

ちなみに、私の後輩は主席卒業でしたので、リク面を易易と突破して、内定にこぎつけていました。

(後で紹介します)

 

私鉄と建設業界の併願は、「就職活動の軸は?」質問に相乗効果あり

私鉄業界においては、「建築・建設業界」との併願をおすすめします。

 

課長職面接くらいで、概ね「どこの業界をいま受けていますか?どの会社を受けていますか?」という質問が来ます。

ここで、「ゼネコンです。◯次選考まで進んでいます。まちづくりがしたいからです」という回答ができれば、「就職活動の軸」質問はクリアできます。

私鉄業界と建設業界は、「まちづくり」というポイントで一致しているからです。

 

一般に、私鉄が主となるまちづくりは、デベロッパー(事業主)となり、施工がゼネコン、というサプライチェーンが成立しています。

 

スカイツリーの例

・事業主:東武鉄道
・設計:日建設計
・施工:大林組

 

ゼネコンの選考については、以下の記事を参考にして下さい。

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建設業界は割と選考が早いので、他社内定実績という形でもアピールできるかもしれません。

 

エントリーシートの例

JR西日本(書類選考通過後、辞退)

JR西日本に関心を持った理由と、入社して取り組みたいこと、実現したいことを記入してください。

・関心を持った理由
普段の生活にて何気なく利用している鉄道ですが、数多くの列車を朝から夜まで毎日運行し続けていることにふと気付いた瞬間があり、驚きを感じました。いまでも時間通りに来る列車をみて、不思議に思うことがあります。貴社の会社説明会や冊子を読み、列車運行の管理や設備保守に携わる方々が日々の鉄道風景を守っておられると知り、非常に関心を抱きました。
私もその一員になり、近畿地方および西日本地域の活性化にお役に立ちたいと思い、貴社を志望するに至りました。

・取り組みたいこと、実現したいこと
私は信号通信設備の維持管理、および開発業務に従事する事で輸送力の向上および安全の確保に努めたいと考えています。安定で効率のよい運行を維持・発展させるには、信号・通信システムの管理や開発が必要であると感じます。貴社は、山陽新幹線および京阪神大都市圏の在来線を擁し、これら路線の輸送力向上が営業利益に直結するのではないかと考えております。各部署の様々な社員方と協力し協議を重ねる事により、より優れた運行システムの構築に取り組みたいと考えています。

あなたが学生生活で特に力を入れて取り組んだ学業や活動について具体的に教えてください。また、その経験をJR西日本でどのように活かしたいと思いますか。

・取り組んだこと
大学院では「レーザダイオード(LD)を利用した応答デバイスの実現」をテーマに研究を行っています。私はこの一年、学会発表を目標に頑張りましたが、新しい研究テーマで短期間のうちに学会発表に出すに値するデータを得ることは困難を極めました。しかし、多角的な解析や試行錯誤を経て新規性あるデータや考察を得るに至り、学会で二度の登壇発表という貴重な体験をすることができました。
・活かし方
私は、向上心や開発意欲が旺盛な人間だと考えています。研究活動を通して、知識もさながら、困難に対処する方法や諦めない姿勢を学びました。このような姿勢は、貴社での保守管理や仕様設計などの現場でも役立てられると考えております。また、知識としては、電気分野をバックグラウンドとしており、研究でもLDの電気特性を検証しています。研究における計測、作製、考察などを通し、実務でも利用する知識のベースとなる部分は心得ていると考えています。

あなたを自由に表現してください。(あなたが夢中になったこと、強み、得意なことなど何でも結構です。写真、絵、文章など表現方法は自由です。)

「人を魅了できるバンド作り」・・・・人の心に“何か”を芽生えさせられたらどれだけ素敵な事だろうか。
・きっかけ→学部2年生の頃、「Going Steady」というバンドのCDを聞いて衝撃を受けた。彼らは楽器初心者から初めて僅か3年でそのCDを出版した。自分も音楽を始めようと思った。
・ギターを学び、作曲を始める→先のきっかけ以降、ギターの練習を始めた。そして、三ヵ月後、早く楽曲を作りたいと思い一曲つくった。良い曲ができたと思った。
・バンド結成→インターネットを利用してメンバー募集したが、楽器経験が浅く相手にされず。そこで、友人に話をもちかけ意気投合。楽器初心者ばかりの4人組バンドを結成。
・リーダーとしてバンド運営→練習メニューの作成、意見の取りまとめに尽力。効率よい議論をするための工夫。楽曲イメージを共有するために楽譜を勉強し譜面を作成、また簡単なサンプル音源を作成。また控えめなメンバーに対してこちらから質問する事で考えを引き出し、楽曲観のすりあわせを行った。
・ライブ→深い議論を交わし楽曲制作に当たっているおかげか、楽曲評価が高く、観客から「音楽っていいな。バンドやろうかな」とよく言ってもらえ、他のミュージシャンの楽曲制作に私達の楽曲が影響を及ぼせたりするようになった。

 

私鉄のエントリーシート(内定辞退)

※社名は諸事情により、非公開とさせてください。ただ、ほかも選考はだいたい同じような感じになるようですので、ご参考まで。

1.大学(または大学院)生活の中で、あなたが最も熱心に取り組んだ事を、以下のいずれかのテーマに関連付けてご記入下さい。
・[チャレンジ精神] [リーダーシップ] [プラス思考] [カリスマ性(魅力)] [判断力] [精神力]

私は学部時代から音楽に注力し、「人を魅了できるバンド」を目指して楽曲制作に取り組んでいます。私はリーダーとして、練習メニューの作成やメンバーの意見取りまとめなど、バンド運営に尽力しています。
1.バンド結成時、「人を魅了する曲を一緒につくろう」と現メンバーに呼びかけました。実際に、ギター始めて三か月で作曲に挑戦し、それを電話口で聴いてもらったのですが、その何かやろうという私の姿勢に共感してくれたそうです。
2.魅力ある曲を完成するには、メンバー間が活発に議論し、総力をあげて制作にあたらなければなりません。しかし、ただ闇雲に議論を進めても話が深まる事はありませんでした。そこで、全パートの演奏を譜面化することで、各パート演奏の細部まで可視化させると共に、メンバーが楽曲イメージを共有するためにサンプル音源を作成することにしました。これにより、作業効率が向上し、細やかで活発な議論を可能にする事ができました。
3.メンバーのほぼ全員が楽器初心者から始め、一からの挑戦でした。楽曲制作の場では、アイデアが出ず議論がすぐ行き詰まり、本当にうまくいくのかとよく不安になったものです。しかし、徐々に楽曲の評価も上がりライブ出演の依頼も増え、私達の曲が他のミュージシャンの楽曲制作でモチーフになるなど、周囲に認められるようになってきました。

2.あなた自身を自由にPRしてください。

私は、難題に対しても諦めず、粘り強く考え抜くことを心がけています。大学院では通信用途のレーザダイオード(LD)研究を進めていますが、LD素子の性能を向上するために利用した材料が非常に熱に弱く、幾度となく熱変質(結晶化という現象)に悩まされました。しかし、性能を向上させ、そして良いデータを学会で発表したいという目標から、私はこの材料の利用を諦めませんでした。まず初めに、なぜこの材料は熱を受けることで結晶化を起してしまうのか、分子スケールから結晶化が起こるメカニズムを推論しようと考え、多数の文献や授業で得た知識を参考にしたり、私の専門分野ではない化学反応論の勉強をすることで推測を試みました。更には、何度も研究室に泊り込んで素子設計を試行錯誤するなど学会発表直前まで精一杯考え続け、ついにこの材料の結晶化を抑える事に成功しました。結果として、良好なデータを目標としていた学会で登壇発表することができ、私はこの経験を通して、難しい課題に対して解決方法を導き出せた事で大きな達成感を得たと同時に、目標に対して粘り強く取り組む姿勢が重要である事を改めて認識させられました。

3.鉄道というフィールドで、あなたが取り組んでみたいこととその理由を簡潔のご記入ください。

まちづくりに対して携わいたいと思っています。子供の頃から鉄道や大きな町並みに憧れを持っていました。大人になっても、都市創造への興味は変わっていません。そして、鉄道と街は密接に結びついており、事実として街の中心には駅があります。鉄道沿線の発展は、街そのものを大きくし、そして魅力あるものに変えていきます。私が取り組みたいこととしては、一大プロジェクトとなるまちづくりに携わり、これには各所との折衝が求められる場面が多々あると思いますが、私がこれまで心がけている粘り強く考える姿勢や、大学で学んだ技術的な知識を更に磨き活かしながら、チームの一員として推進したいと思っています。

 

JR東海のエントリー(エントリー落ち)

便宜上、簡単にWeb登録があった程度ですが、ほとんどリクルーター面接での学内選考であったため、割愛します。

 

私鉄の面接

私が実際に選考に進んだのが、私鉄でしたので、面接は私鉄の内容のみとなります。

1次面接

係長級1名との面接を行いました。所要時間は30分。

 

非常にオーソドックスな面接でして、以下の4点です。

・志望動機

・学生時代に力を入れたこと

・学業について

・他社の選考状況

 

私の場合はESにあるとおり、まちづくりに携わりたいことを前面に押し出していました。

また、スーパーゼネコンより内定を得ておりましたので、それを述べながら、「まちづくり」が就職活動の軸であることを伝えていきました。

 

一次面接がほぼ終わろうとしたとき、「このあと、すぐに二次面接を受けれますでしょうか?」と、次の選考をすぐ行いたい旨、伝えられ承諾することになりました。

 

2次面接

課長級2名。所要時間は60分。

 

こちらでも非常にオーソドックスな質問をされ、

 

・志望動機

・学業についての紹介

・学生時代に力を入れたこと

・他社の選考状況

 

など一次面接と同じようなことを聞かれた上で、

 

・なぜ、建設業界を受けていたのか?そこで、なぜ鉄道がよいのか?

 

と、やや深堀りをする質問がありました。

(回答としては、鉄道事業主は鉄道インフラの保有だけでなく、デベロッパーとしてまちづくりをリードする立場であり、プランの作成から携わりたいと思ったから、という旨を説明しました。)

 

また、その他にも、

 

・学生時代で、一番達成感を感じているときはいつですか?

 

という質問があり、私は、

「今です。大学院では研究活動に力を入れており、1年経過した今、徐々に成果が見え始めてまいりました。結果として直近の国際学会で若手奨励賞のファイナリストにノミネートされています」

と回答しました。

 

概ね回答できたかな、と感じながら面接を終えようとしていた時に、早くも「最終面接の案内」をその場でいただきました。

 

あとから聞いたところ、最終面接に残された人は2名だった、と聞いています。よって、二次面接でほぼ内定が決まっていました。

 

最終面接

副社長と役員1名、だったかと思います。時間は30分。

 

質問すらほとんどなく、ざっくばらんなお話をして終了でした。

色々とお話を聞かせていただきました。

特に人口減が予測される中で、運輸での売上も近い将来落ち込むだろうと予測され、それに対して他でどう成長していくかが、鉄道業界の鍵となっているとのこと。

なので、特に都市開発、観光資産のレバレッジ、インバウンド顧客の獲得が重要な施策となっているとのことでした。

 

まとめ

JRと私鉄では、大きく異るビジネスモデルをもつため、異なる志望動機を考える必要があります。

 

JRは地理的に広範囲の場所をカバーしています。

そのため、都市間の運輸そのもののビジネスが大きな軸として据えられ、運輸サービスの向上により利用客の取り込みが主なビジネス戦略になります。

またJRの成り立ちから、価値観として”官僚的・保守性が強い傾向”にあるようで、人物像としても優等生タイプが好きな様子でした。

 

一方で私鉄の方は、地理的に狭い範囲をカバーするに過ぎません。

沿線人口も多くないため、運輸サービス向上による利用客の取り込みだけでは、大きな成長戦略が描けません。

そのため、沿線に街・デパート・住宅地を開発し、人を沿線に呼び込むことで成長戦略に結びつける努力が必要です。

ビジネスが多角化しますし、あらゆるサービスを提供する会社と協業することになるので、コミュニケーションスキルや視野の広い人物像が好まれるように思います。

 

もちろん、会社ごとに社風は別れますので、上述の内容は全てに当てはまらない可能性がありますが、大まかな傾向として取られていただけるといいかと思います。