◆ 品質管理(QC)の概要
◆ 製造業・非製造業に共通する仕事基礎力
◆ 新人・若手社員が最初に身につけるべきTips
となります。
品質管理(Quality Control: QC)ってご存知でしょうか。
QCで利用されるツールは品質管理業務だけではなく、全ての仕事の基礎になっています。。
そして、「成果が出せない人」は、まずこのレベルの習慣化がまず出来ていません!
労働力不足もあって、「人が育つ割合」が多くの企業で大きな課題となっています。
一方で、しっかりとトレーニングを施す企業が、かなり少数ではないかと肌感を持ってます。
仕事のアウトプットを向上させたい人、必見です。
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はじめに
今回のお話は、品質管理(QC)の初級、かつ、序論です。
品質というと、製造業が作る製品のイメージがあります。
では、工場だけの話なのでしょうか?
品質という概念は様々な業務に波及します。
特に、品質管理術は、すべてに通ずる仕事術そのもの。
品質は何で決まるか?
品質とは?
品質とは、製品やサービスが顧客に満足してもらえる度合い を意味します。
例えば、自動車の場合であれば、
- 不具合が発生しない
- 燃費が良い
- 耐用年数が長い
- 静穏性に優れている
などが思い浮かびます。
ただ、これは品質の一部にすぎません。
これだけでは顧客は満足しないからです。
下記は実際の自動車メーカーが考える品質の定義となります。
- 製品の機能
- 燃費が良い
- 壊れない
- 乗り心地に優れている
- デザインが良い
- コスト
- 機能の割りに安い
- 納期
- 欲しいときにタイムリーに手に入る
- サービス
- 修理が必要な時に迅速に対応できる
- 壊れた箇所がしっかりと修理できる
- 応対がよい
品質というとプロダクトそのものの性能を想起されがちですが、コスト、納期、サービスなどの部分も含まれます。
業務におけるQC
品質を守るには、社内のあらゆる部署でコミットメントが必要です。
- 企画部:顧客のニーズを推測し、それを満足する製品のプランを策定する
- 開発・設計部:企画を実現するための技術や部品を決定し、性能・安全性・信頼性を確保するよう設計開発する
- 生産技術:開発された製品の作り方を考え、生産に必要な設備や治具を考える
- 製造:設計書通りに機能する製品の作り方を考え、量産バラつきを最小限にし、生産を安定化させる
- 営業部:顧客に製品機能や優れた点、契約内容などを正しくわかりやすく伝える。顧客との約束を果たす。
Customer Voiceを企画、開発・設計にフィードバックする。 - アフターサービス:実際のユーザとなった顧客の困りごとを着実に対処。故障した場合は修理し、安心して使用できるようサポート。
- 人事・経理・法務部:顧客に提供するサービスを向上するために、人員確保を行う。またフロントライン部門の活動に必要な法務・経理手続きを行い、コンプライアンス統治を担う。
QCしごとの基本
PDCA (管理のサイクル)
有名なPDCAですが、実はこれ、QCの概念です。
PDCAは以下のように定義します。
【P】Plan: アクション計画をつくる
ゴール(目標)にたどり着くための道筋を考えます。計画は、5W2Hで考えます。
【D】Do:計画を実施してみる
Planを実行します。(とりあえずやってみる)
【C】Check:やってみたことを振り返る
Planどおりに実行してみて、やり方が良かったのか、Plan通りの結果でなければ、他の計画に悪影響が出ているのかを確認します。
できるだけ客観的な情報を元に振り返ることです。
【A】Action;やり方を修正し、行動する
結果が良ければ継続、悪ければ、原因を追究し、Planを修正します。
Planをつくるための前分析「 As Is /To Be」分析
PDCAの前に検討すべきは、As Is/To Be分析 です。
TAGは以下の頭文字です。
【T】To Be=ありたい姿、理想の姿
【A】As Is=ありのままの姿、現状の姿
【G】Gap=ありたい姿になるために必要なこと
Planを検討する上で、TAG分析が切り口となります。
まず、PDCAをまわすことで実現したい【T】ありたい姿を考えましょう。
次に、【A】現状の姿に考えてみます。その差分が【G】必要なことになるわけです。
【G】必要なことを精査することで、具体的なPlanに落とし込み、PDCAサイクルに乗せていきます。
PDCAを検証するための物差し「管理項目」
PDCAがうまくいっているか、比較する物差しが必要です。
その物差しのことを、「管理項目」といいます。
う~ん。ピンとこないですね!
血圧A、体重B、コレステロールC・・・みたいな?
それが「結果系管理項目」。
ただ、そうなるにも原因があるでしょ?
たとえば・・・
あと、運動もしないっすもんね!
ま、結果がそうなる「要因」ってわけです。
この要因の有無、度合を見るのが「要因系管理項目」です。
なので、PDCAを回す場合の効果測定は、途中経過をモニタリングするための「要因系管理項目」を定めましょう。
また、このような一連の作業を、「プロセス管理」といいます。
要因系管理項目 | 結果系管理項目 |
|
|
QCで重要な思考整理法「5W2H」
仕事や業務の進め方を改善を目指すとき、QCでは「5W2H」で考えます。
プロセス管理、PDCAでの検証では常に「5W2H」で問いかけ、抜け漏れを無くします。
Why | 何のために? | 目的 |
Where | どこで? | 場所 |
What | どの部分を?何を? | 特性 |
When | いつ? | 時期 |
Who | 誰? | 担当者 |
How | どうやって? | 手段・方法 |
How many (much) | どのくらい? | 程度・数量・コスト |
仕事に必要な”視点”を養おう
日常から気を使うべき「5つの管理項目」
- 5S管理
5Sとは、整理・整頓・清掃・清潔・しつけ、のイニシャルSを取ったものになります。
5Sを徹底することで、仕事効率が上がり、ミスが減ります。
- 標準化管理
最も効率のよい仕事手順を決め、個人業務ではテンプレートを作成あるいは作業ルーチン化(例. エクセルのマクロを組む等)、グループ業務では作業標準書やマニュアルにし、手段を統一します。
- 変化点管理
ルーチン化したこれまでの業務プロセスに変更が生じた場合、きちんと確認しましょう。
多くのエラーは、変化点が生じた部分で発生すると言われています。
製造業の場合は、機器の変更や手順の変更があった場合、変化時点前後のデータを取得し、管理します。
- 例外管理
例外的な業務が発生した場合、日常の仕事と切り分けて区別し、管理しましょう。
- 目で見る管理
課題や問題が発生したとき、明文化や図示化を行い、目で見て分かるようにします。
それにより、グループ内で共通認識を共有することができます。
グループ業務で必要な”標準化”
Aさんは古い見積様式を使い、Bさんは新しい様式を使い、Cさんは経理部の様式を使っているのですが、どれが正しいのですか?
QCの考え方では、管理されていないところではミスの温床となります。
同時に、時間効率が悪く、コスト悪化の原因になります。
故に、安全に素早く、ミスが無く対応するには、「作業の標準化」を行います。
注意すべきなのは、QCでは、標準化されてしまえばその手順は絶対です。
勝手に変えてはいけません。
自己流で勝手に手順を変えてしまうと、その作業品質は誰にも管理できなくなるためです。
ファクトで行動し、判断する「ファクト・コントロール」
QCでは、とにかくファクトベース思考が求められます。
事実に基づかなければ、品質管理が困難なものとなります。
仕事上でも、ファクトに基づく意思決定を行わなければ、作業の手戻りが発生する可能性があります。
ファクトの追求は、例として以下のようなものです。
- 信頼度の高い数値データを重視する(例. 校正済み計測器で取得したデータ)
- 一次情報ソースを重視する(例. 厚生労働省調査の給与データなど)
- 現場・現物の目視
逆に、以下のような情報はできるだけ排する必要があります。
- 収集過程にエラーがあるデータ(例. 母集団に偏りのあるアンケート結果)
- 二次ソース(例. 出典元ではないWeb情報など)
- 人からの伝聞
ほう・れん・そう(報告・連絡・相談)
「ほう・れん・そう」は、QCから生じた言葉ではありません。
ただし、トラブル発生時には、非常に重要なアクションであるため、各社のQC活動に取り入れられています。
- 報告
仕事上の指示者に、業務の進捗状況や結果を伝えること。
いいことばかりではなく、時として悪い結果(案件の失注)などの報告も含まれる。
- 連絡
指示者のみならず、同僚や取引先・顧客などへ連絡する行為。
スケジュール調整や変更、情報の提供あるいは収集する際に、よくとられるアクションである。
- 相談
仕事上で、複数の選択肢が迫られていたり、一人で解決が難しい課題を、上司・同僚・取引先に意見を伺う行為。
ほう・れん・そうは、早く、緊密に行う必要があるんですよね!!
まとめ
QCは、製造業における品質改善のために構築された仕事術ではありますが、実際にはそれ以外の業務でも十分に発揮できるものです。
現に、PDCAやファクトベース思考など、一般的なビジネスでも普及しています。
次回は、QCを更に深堀し、「QC7つ道具」について、説明したいと思います。
本記事は、 ◆ 問題解決型のフレームワーク ◆ QCストーリー と QC7つ道具 実践例紹介 ◆ QC教育初級者レベル について記述しています。 なお、事務系ビジネスパーソンの方は、以下も御覧いただけれ[…]