コロナ禍の影響や、半導体不足により自動車メーカーは苦境にあります。
前回の苦境がリーマン・ショックで戦後最悪の就職内定率を記録しました。
その頃の体験記は今回のコロナ禍にも通づる部分があるかと思いますので、過去の経験談を下に情報公開したいと思います。
筆者の(勝手な)分析
とりぞーの勝手な情報を、お伝えします。
ホンダの採用
ホンダは、本田技研工業、本田技術研究所、ホンダエンジニアリング、その他(ホンダ・レーシング、ホンダアクセス)などを一括採用方式をとっています。
学卒採用は、事務系と技術系の採用があり、事務系と技術系の一部が自由応募、技術系の8割くらいが学校推薦となります。
本配属は、実習期間中の面接で決定されますが、ある程度目星がつけられている人もいます。
なお、学卒とは別に、事業所採用もあります。
こちらはメインが高卒で、本採用時に合流します。
なお、後述しますが、ホンダは高卒も学卒も横並びで仕事することになり、昇進条件は大きく変わりません。
多くの高卒社員が、主任研究員や上席研究員として活躍する、いい意味で珍しいタイプの会社です。
ホンダの社風
ホンダスピリッツ、スポーツのホンダ、など、熱いイメージが強いですが、ホンダの内部はそれほどでもありません。
就職活動時のホンダの売り出し方と、実情は乖離しているので要注意。
ただし、学歴はホンダではほとんど関係ありません。
ホンダの中心的な位置づけである、本田技術研究所では、東大卒も高卒も横並びで仕事しています。(もちろん出世条件も違わない)
また、学校名も関係ありません。
ホンダが好む人物像
有りたい姿と実像が異なる部分があるので、採用チームとしては「ホンダらしさ」に沿った人物像がほしいと推測しています。
つまり、
- 何事をやるにも前向きで、熱い心の持ち主
- やりぬく力を持った人
- 頭はクール
な人です。
また、ワイガヤやA00といった文化があるので、コミュニケーション能力に長けた人物が好まれる傾向にあると思います。(誠実さも兼ね備えている必要がある)
就職活動情報
詳しくはWebを見て下さい。
自由応募の倍率
※リーマン・ショック後の2011年情報となります。
※※採用担当者の情報をベースにしています。
※※※データは二次採用・自由応募
ES提出者(3000通)>> 最終合格者(16名) 倍率187倍
ES通過率は10%程度であったと推測。
二次募集のメール
色々と受けて、時折内定ももらっていましたが、なんか少し違うなーと思い始めていたところ、以下のメールを発見。
また会社説明会をやるらしい。(でも行かなかった僕・・・)
本田技研工業 ES と 質問応答
※個人情報部分は一部改変させていただきます。
驚いたのが、最終学歴を書く欄がない!
まじで学歴不問なのか、この会社。(感心!)
■研究について
私は通信用レーザーダイオード(LD)の研究に取り組んでいます。私の研究では、LDの利点である高速応答性に注目し、電気信号を光信号に変換して、発光をON-OFFさせる事で通信を行う「電気―光信号変換デバイス」の開発を目指しています。
これまでに、LDへの適用実績のない無機材料を使い青色LDの開発に成功し、改良を加え低電圧駆動を実現しました。現在は、高速大容量な光通信を可能にするため、入力電圧に対する発光の応答速度向上を目指しており、現段階において研究室内でも最速レベルの応答速度を達成しています。結果、目標としていた応用物理学会での登壇発表を二度経験する事ができ、また今夏に開催される国際学会では若手研究者奨励賞の最終候補者に選出されています。
■研究テーマを志したきっかけ
研究室配属前である大学3年の頃に、LEDテレビの発売が話題となり、私もその薄さと高画質に大変驚きました。そこでオプトエレクトロニクスに興味を持ったので詳しく調べてみると、学術的に解明されていない事が多く、技術的な問題点も山積しているのだと知りました。難題に対して果敢に取り組みたい感じた事と、最先端分野に携わり、卒業までに自分の達成した研究成果を有益な形で残したいという気持ちがあり、オプトエレクトロニクスの研究を志すに至りました。
■研究で苦労した点
「材料の熱変質をいかに抑えるか」・・・この点に悩み、苦労しました。
LDの応答速度向上には、材料の持つキャリア移動度の大きさが重要になります。そこで、このキャリア移動度の大きい正孔輸送材料を利用したのですが非常に熱に弱く、素子作製工程の途中で熱変質が生じてしまいました。私は高速応答デバイスを実現するために、多数の論文や文献に目を通し、授業で学んだ表面工学の知識など得られる情報をフル活用することで、熱変質が起こる分子メカニズムの究明に取り組みました。そして、適切な素子設計を考案する事で、熱変質の抑制に成功、性能を飛躍的に向上させることができました。
■ホンダを志望した理由
貴社を志望する理由として大きく三つあります。
一つ目は、モビリティの開発に携わり、ユーザーに新しいライフスタイルを提供したいと考えたためです。私は普通自動車免許を取得して以来、行動範囲が広がることで世界観が変わりました。知らない場所まで旅できるという幸せ、そして人々の生活を豊かに出来るモビリティに魅力を感じ、開発に携わりたいと考えました。二つ目に、モビリティの知能化に携わりたいと考えたためです。貴社では、追突被害低減システムなどの安全システムの開発、車載情報提供システムなどのIT化等、モビリティの知能化に力を入れています。これらの開発に携わり、ユーザーにより快適な車ライフを提供したいと考えています。
三つ目に、貴社の技術者に魅力を感じたことです。会社説明会で電装部門の方が「仕事にやりがいを求めるには、ホンダがもってこいだ!」と力説されていました。そして、「電気出身の方も、機械工学を自主的に勉強し、学問の範疇にとらわれない仕事をしている」と仰っており、私はその言葉に感銘を受けました。私は以前より、電気という学問に軸足を置きつつも視野の広い技術者になりたいと考えており、貴社の技術者がもつ仕事への姿勢に魅力を感じました。
→(最終面接時の質問)何で視野の広い技術者になりないの?そうなる必要は?
■ホンダでやってみたいこと
私のやりたいこととして、二輪・四輪自動車の高知能化、特に、CMBSなどの交通安全システムの開発に携わり、事故の無い車社会を実現したいと考えています。自動車とは人の暮らしを豊かにするものであって、平穏な日常を脅かすものであってはなりません。最近、高速道路を走っていると追突されて大破している車を見たのですが、こういった凄惨な事故をできるだけ無くしたいという気持ちになりました。日本では高齢化が進み、海外では自動車利用者が増え、交通安全の確保が今後一層重要になってくると考えます。そこで、私は交通安全システムの開発に、大学・大学院で学んだ電磁波工学や回路理論などの基本知識を生かしたいと思っています。又、LDを用いた光通信技術もシステム構築に利用できるのではないかと考えます。光通信の利点として、電磁波障害に強いことがあげられます。将来普及すると予想される電気自動車は大電流量の使用によって電磁波の影響も大きくなると考えられますが、センサーやユニット間の情報伝送に光通信技術を用いれば電磁波障害の心配は無く、さらに光伝送路にポリマー光導波路を用いることで省スペース・省コストにも繋がると思います。
→(最終面接時の質問)いま電磁障害が本当に問題になってきている。LDって使えるの?
→(最終面接時の質問)いま実際に使っているフォトカプラと比較して、どこが利点なの?
→(最終面接時の質問)これをやってもらうとしたら、あなたは即戦力になれる部分ってある?
■自己PR
私は、難題に対しても、諦めず粘り強く考え抜くことを心がけています。先述の研究ですが、利用した材料の熱変質が原因で、性能はおろか素子が全く駆動しないという程ひどい状態でした。しかし、応答速度を向上させたいという想いと、良いデータを発表し応用物理学会での発表を成功させたいという目標から、私はこの材料の利用を諦めませんでした。文献を読み、私の専門分野ではない化学反応論の勉強をしてみたり、更には何度か研究室に泊り込んで素子設計を試行錯誤するなど、学会発表直前まで精一杯考えました。そして解決方法を導き出し良好なデータが得られた事でやりきった事への達成感と大きな自信に繋がり、私はこの経験を経て、目標に対し粘り強く考える姿勢が重要だと学びました。
■これまでで伝え切れていないものがあれば記入を
私は、人と協力し合ってものづくりに携わっていきたい。学部の頃よりバンド活動を始め、私はリーダーとしてバンド運営に尽力しています。私含め、メンバーのほぼ全員が楽器初心者から開始し、右も左もわからない状態でした。うまくいくのか不安もありましたが、メンバー全員で意見を出し合い、譜面の書き方や作曲理論の勉強会を開くなど、一致団結して音楽活動を進めてまいりました。時には、楽曲制作の場で言い争いが起きたり、議論が散漫になって状況が一向に進展しないときもあり、苦労が耐えない時期も経験しました。しかし、現在ではそれらを乗り越え、楽曲の評価が上がりライブ出演の依頼数も増え、私達の楽曲が他のミュージシャンの楽曲制作でモチーフになるなど周囲に認められるようになっています。周囲の人たちと協力し合い、一つの目標に力を注ぐ、そんな技術者に私はなりたい。そして、開発に携わった自動車に乗るユーザーの笑顔をみたい、私はそう考えています。
→(最終面接時の質問)ここ興味あるね。どうやってその場を対処したの?
→(最終面接時の質問)なんで音楽をやりたい、って思ったの?学生時代って他に沢山できることあるけど。
採用選考の流れ
エントリーシート通過連絡
二次選考の会社説明会に行かなかったからどうかなぁ、と思っていたんですが。
通過しました。
一次面接
面接官:2名
ホテルの一室で、面接。
やや張り詰めた空気の中で、40分程度。
ホンダは熱いスピリットを持った候補者を選びたいようで、学生時代に頑張ったことを気持ちを込めてPR。
特に、「自分の領域だけではない。他の人が担当する領域のことまでしっかり学ばないと、効率よくプロジェクトは進まない」と伝えたところ、「まさしくあなたの言うとおりだ!」との反応。
ここで、一気に意気投合。
その後は、当時乗っていたスバル・レガシーの中古車について雑談となり、終了。
そして、一次通過連絡。
最終面接前に、最終学歴が分かる仕組みになっているみたいです。
最終面接
面接官:3名
日本営業本部・和光本社 で面接。
面接前の待合室で、採用担当者が近寄ってきて。
「既に他の内定取られているんですよね?早く連絡しないといけないんですよね。いつまで待てますか?採用チームで少し話があがってまして」とのこと。
あとから振り返れば、どうやら一次で既に決定していた模様。
面接では、かなりグイグイと質問攻めに合う。
どうやら即戦力で使える分野はないか、という質問。結構押され気味であった。
その後、内定連絡の目安について周知があり、解散。
内定連絡
目安が「○日頃からぼちぼちと連絡し始めます」ということだったが、その○日の午前に内々定連絡。
内々定の理由として、
・高いコミュニケーション能力
・技術力
の2点。
自由応募のみ、内々定者フォーラムを開催するようで、案内がなされました。
内定辞退を防ぐために実施しているのだと思います。
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さいごに
ホンダは、熱い心と頭の良さをアピールしたら受かりますが、それを裏打ちするだけの学生時代のエピソードが必要かと思います。
私のときはリーマン・ショック時なので、かなり厳しい倍率でしたが、コロナ禍でも同様に厳しい就活環境であるかもしれません。
なので、しっかりと学生時代に頑張ってきたことを、自分の言葉で、熱い心をもって、PRするとしっかりと面接官も汲み取ってくれるのではないかと思います。
頑張って下さい。