優秀なDX人材になるための、5つのスキルと6つの資質

DX

本記事のポイント

想定読者:
・ DXに携わりたい就職/転職検討者
・ DX業務について知りたい方

記事のトピックス:
■ DX需要が高まる背景
■ DXに携われる職種とは?
■ DX人材に求められるスキルは?
■ DXに挑む際に身につける資質は?

最近テレビのニュースや雑誌で話題になっているDXですが、何かご存じでしょうか?

DX分野に興味があるけれど、そもそもDXを一言で説明できないと感じている方も多いと思います。

どのような職種があるのか、求められる知識やスキルは何か。

DXにかかわる仕事を進めるうえで必要なマインドは何か。それぞれ紹介していきたいと思います。

DXとは

DX

デジタルトランスフォーメーションの略であるDXとは何か再確認しましょう。

2018年に経済産業省が取りまとめた「デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するためのガイドライン」内で下記の通り定義しました。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

経済産業省 DXを推進するためのガイドライン

DXとデジタル化の違い

ここで、DXとデジタル化の違いがはっきりとせず混同している方もいるので整理してみましょう。

デジタル化は既存のシステムを業務効率化する目的でしか考えていません。

一方のDXは、経済産業省が定義したように、デジタル化した後のさらにその先にあたる競争力の向上が目的となっています。

“2025年の崖”への対応が急務

ただし競争力を競うにも様々な障壁があります。

経済産業省は「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」内で『2025年の崖』として警鐘を鳴らしました。

多くの企業が使用している既存システムをレガシーシステムと称し、このシステムが老朽化やブラックボックス化、肥大化が進む課題を挙げています。

このままの状態を放置し経営改革が行われないと、2025年以降は年間最大12兆円にも上る経済損失が生じる可能性があると指摘しています。

DX人材の致命的不足と需要拡大

みずほ情報総研株式会社による「IT人材需給に関する調査」が行われDX分野における人材不足も指摘されました。この調査によると、2030年には最大79万人の人材が足りなくなる可能性が報告されました。

このような報告をうけて政府は国をあげてDX化に取り組むようになりました。デジタル庁が新設され、農林水産省ではデータサイエンティストの採用や育成を始めています。

DX化を推進していく取り組みや方針を決め、推進するための人材確保と育成に力を入れ始めています。

DXにかかわる6つの職種

DXは国をあげて推進を図っている取り組みであることは理解できたと思います。

では具体的にどのような職種があるのでしょうか?今後DXにかかわった仕事探しをしてみたいと考えている方は、自分はどのポジションを最終的に目指すか目標を立ててみてください。

ゴールを決めて、現状自分がどの職種から取り組むことができるのか考えるきっかけになるとよいでしょう。

プロデューサー

DXを推進するリーダーにあたる職種です。最高デジタル責任者の頭文字であるCDC(Chief Degital Officerの略)といった管理職に就くことがあります。会社全体のDX化を推進するにあたり組織を横断した戦略構築をします。社外の関係者と関係を構築し業界全体を把握したうえでの会社方針を決めていくことも求められます。

ビジネスデザイナー

プロデューサーが決めた会社方針に基づき、具体的なDXの企画や立案を担う役割です。市場や顧客のニーズを把握するマーケティング力も求められます。社内外関係者の意向をくみ取る調整力やプロジェクトに巻き込んでいく能力が必要となります。

アーキテクト

設計という意味があるアーキテクトは、企画化されたDXを推進するためのシステムを設計します。ビジネスを構築するための課題分析や設計、開発サポートの役割となります。構築する実働部隊だけでなく、ビジネスの側面からも解決策を提案することが求められます。

データサイエンティスト

AIやIoTを利用し取得したビックデータの分析・解析を行い、DX推進に必要な情報を抽出する人材です。インターネットの発展により膨大な情報を回収するのが容易になった一方で、ビジネスに必要なデータ解析を行うための重要なポジションです。

UXデザイナー

どんなに優れたシステムであっても顧客にとって扱いづらいとDX化が進まなくなってしまいます。顧客体験を指すユーザーエクスペリエンス(UX)は、顧客にとって使いやすく付加価値を訴求したデザインを構築することがUXデザイナーに求められます。

プログラマー/ITエンジニア

デジタルシステムの実装や管理、インフラ構築などを担当する役割です。アーキテクトが設計した仕様にプログラミングを施して、テストと修正を繰り返し行いシステムやサービスの機能を完成させます。

DX人材に求められる、5つの知識やスキル

自分が将来目指す職種を決めたところで、具体的にどのような知識やスキルが必要なのか考えてみましょう。今後仕事の中や日常生活の習慣で身に着けられるものなどさまざまあります。

(1) ITの基礎知識

…デジタル技術を駆使してビジネスモデルを作り上げていくため、ITスキルやITリテラシーの基本的な知識が必須となります。システムやアプリケーション、ネットワークなどのITに関する基本的な構造を理解しなければなりません。どのポジションであっても社会の課題を解決する方法や案はデジタルを用いなければ考え出すことができません。

(2) 先進技術に関する知見・デジタルトレンド

日々IT分野では新しく開発されていくため、基礎知識に加えて先進技術やデジタルトレンドを把握する必要があります。一度DXを構築したのでプロジェクトが終わりになることはなく、デジタルの発展とともに新しく取り込むことができないか考え続ける必要があります。それまでのノウハウと先進技術を組み合わせた新しいDXを作り上げることで社内にとどまらない社会全体のDXを推進することができます。

(3) データの取扱、活用の仕方

ビックデータから集めた膨大な情報を読み取り、事業の方向性を進めていくためにデータを分析するスキルが必要となります。統計学や分析能力で得たデータを、ビジネスに展開するためにどのように活用するか方法を決める力も必要不可欠です。
最近ではデータサイエンスを学べる学部や学科のある大学やビジネススクールが開設されとても重要な役割であることがよくわかりますね。

(4) デザイン志向

データ分析に基づいて先進技術をシステムに落とし込むことが必要ですが、ユーザー目線の開発も重要な要素のひとつです。ユーザーが使いやすく、ずっと使っていたいと思える仕組みであるか、今までにない新しい価値を提供できるのかといった考えでのデザイン構築が求められます。この視点を忘れてしまうと使い勝手の良くないものが出来上がってしまい収益を上げられなくなってしまいます。

(5) プロジェクトマネジメント能力

新たな価値を提供するために特定のチームだけでなく、社内外を横断する人員を把握し適切な配置を行う必要があります。サービスを開発するための予算確保や納期の設定といった管理も求められるためマネジメント能力が重要となります。DXを遂行するにあたり試行錯誤は日常茶飯事で課題を把握し検討したうえで軌道修正を都度行うことが欠かせません。円滑にプロジェクトを推進するためにチームのコミュニケーションを図る力も重要なスキルの一つです。

DX産業に挑むために身に着けるべき6つの資質

経済産業省のレポートで報告されたように、近い将来DX人材不足が如実に表れてきます。皆さんの会社でもDX化を進める動きが始まるかもしれません。その時までにぜひ培っていただきたいマインドが複数あるのでご紹介します。事前に身に着けておくことで、同僚より一歩先にDX化を推進できる一人者になれるかもしれませんね。

(1) 不確実な未来への想像力

DXとはその時点でまだ世の中に存在していない仕組みやサービスを生み出すことが求められます。現状で満足せずよりよくするために何を変える必要があるのか想像力が必要です。そのために課題を発見し、なぜそれが課題となっているのか考え、解決するための方法を模索していく力が求められます。それまで使用されてきたサービスを改善することだけでなく、別の仕組みを掛け合わせて新しいものを生み出していく豊かな発想力が発揮されることが欠かせません。

(2) 臨機応変・柔軟な対応力

ユーザーが求めることは日々の生活で目まぐるしく変わっていきます。特に日本人は新しいものに目移りしやすい傾向がありトレンドの入れ替わりが激しいことは日常生活で感じている方も多いでしょう。臨機応変に情報をキャッチアップし、新しい仕組みを構築していたけれど方向転換が必要になる場面は多く出てきます。その際柔軟に対応していく姿勢が求められます。ユーザー目線で何が求められているのか知的探求心を忘れずに情報収集を行い、DX推進へ落とし込むための発想の転換を行っていきましょう。

(3) 社外や異種の巻き込み力

DXを推進するにあたり、自部署だけでなく他部署と横断的に接点を持つ必要があることはお伝えしました。自社だけでなく他社はもちろんのこと、新しい分野へ挑むときには他業種で活躍しているスペシャリストと協働していくことが求められることもあります。自分たちが考えているDX推進をするにあたり、周囲を巻き込んでいきプロジェクトを進めていく力が必要となります。ユーザーにとって新しい価値を提供するためにも、同業他社だけでなく、異業種他社も関わる場合には調整力も発揮していくことが求められます。

(4) 失敗したときの姿勢・思考

新しいものを作り出すときは多くの失敗はつきものです。失敗してしまったからあきらめるのではなく、そこから何を学ぶのか、学んだことを次の挑戦へつなげていく姿勢が必要です。一時的な失敗を恐れずに諦めない、やり切る気概が求められます。

(5) モチベーション・意味付けをする力

世の中にない仕組みを提供するDXでは多くの人が納得して推進を図っていくばかりでなく、一方で多くの人から反発を受けることも多くなります。反対意見が出てしまい結果自身が進めていたプロジェクトが頓挫してしまうことも出てくることでしょう。モチベーションが下がってしまうこともありますが、なぜ自分はDX推進する必要があったのか再度定義を行い意味づけする力が必要です。意味づけができた後は、関係者になぜ必要であるのか言葉で説明する段階となります。DXは日進月歩とならないため、短期的な結果で評価や判断はできないので常にモチベーションを高く持ち続けることが求められます。

(6)いざという時の自身の突破力

DXを推進するにあたり自分に振り分けられた仕事だけこなすのではなく、さらに良くしていくには何か必要なことはないかと常に考えて解決しようとする姿勢が欠かせません。課題に対してクリアして挑戦する思考を持ち続け、いざというときに課題を突破する力が必要不可欠です。受動的でなく、能動的に主体性をもって行動をしていくことが求められます。

まとめ

いかかでしたでしょうか?DXについて理解できましたでしょうか?

上記で述べた知識やスキルはDX分野にかかわらず、日々の仕事でも能力が発揮できると評価されやすいポイントにもなります。ぜひ日常から身に着ける意識を心がけてみましょう。
そしてDXの波は来るべき時期に必ずやってくるので敏感に情報をキャッチアップして、ご自身の能力を発揮できるようにしておきたいですね。