年収1000万超えはどの程度いるのか。業界・学歴別・都道府県別の平均年収も紹介!

平均年収分布R0

最近、業務上で日本の収入水準を調査することがありました。

厚生労働省や国税庁から公表されている最新データ(2021年1月現在)を加工・編集しましたので、共有したいと思います。

 

データ出典

厚生労働省の「令和元年賃金構造基本統計調査」を元に、データを抽出。
また、平均年収は国税庁「令和元年分民間給与実態統計調査 統計表」を参照する。

 

 

平均年収は436万円、中央値は372万円である。(令和元年)

労働者人口の70%が年収500万円以下となる。

国税庁の「令和元年分民間給与実態統計調査 統計表」を集計すると、下図のような平均年収分布となります。

また、平均年収の最も大きなボリュームゾーンは500万円以下となり、実に約70%を占めます。

このうち、500万円以下の男性が56%である一方、女性が87%を占めます。

女性の方が多い理由としては、専業主婦・パートタイマーなどの方が含まれるためです。

配偶者(特別)控除による影響が大きいものと思われます。

参考:各年収階級における労働者割合

下記表は、先の図「年収ー総労働者に対する割合」の詳細となります。

赤字は最高値

年収 男性(%) 女性(%)
0~99万円 3.8 15.4
100万円台 7.2 23.7
200万円台 10.9 20.4
300万円台 16.5 17.5
400万円台 17.5 10.5
500万円台 13.5 5.5
600万円台 9.0 3.0
700万円台 6.4 1.6
800万円台 4.5 0.8
900万円台 3.0 0.5
1000万円台 5.5 0.9
1500万円台 1.3 0.2
2000万円台 0.4 0.1
2500万円超 0.4 0.1

 

平均年収は436万円、中央値は372万円となる。

そして、厚生労働省の公表より、平均年収は436万円(男性539万円、女性295万円)となります。

また、中央値は公表されていませんが、当サイトで推定した中央値(*)は372万円(男性が425万円、女性が315万円)となります。

男性 女性 平均
平均年収 539 295 436
中央値 425 315 372

*中央値とは、サンプル全数(N)を降順で並び替え、半分のサンプル点(N/2)における年収で算出される。当サイトでは、各年収階級(100万円単位)において労働者が一様に分布していると仮定し、線形一次にて推定。

年収1000万円以上は全労働者数の4.9%

一方で、1000万円以上の年収は、4.9%程度にとどまります。

特に女性においては、年収1000万円超がわずか1.2%にとどまり、男性と比べて女性の社会進出度が低い為であると考えられます。

また、エグゼクティブポストに就いたビジネスパーソンは高年収になりやすいので、女性の役員登用が進まない現状が反映されている可能性もあります。

男性 女性 平均
平均年収

(≧1,000万円)

7.6% 1.2% 4.9%

 

 

平均年収が最も高い「電気・ガス業」

※)厚生労働省「付表1 学歴、年齢階級、性、企業規模別賃金」および「令和元年 令和元年夏期/年末賞与の支給状況」より推測値を算出

 

業界別に平均年収を見ると、1位が電気・ガス業2位が情報通信業 などのインフラ業が上位を占めます。

インフラ関連企業は、平均年齢が高く、高年収傾向となります。

また、情報通信業は、インターネットや携帯電話の契約数が増加しており、収益性も高く高年収傾向となります。

次点は金融・保険業、学術研究が続きます。

飲食業界、卸・小売業界、生活関連サービス業の年収が最下位レベル

一方で、飲食サービスは非常に年収が低いです。

当業界では、収益率が低めとなります。

それ故、低賃金・長時間労働が恒常化しており、社会構造的な改善が求められています。

また、卸・小売業界や、旅行業界を含む生活関連事業では、平均年収(464万円)を大きく下回ります。

 

 

学歴と年収との相関

次に、学歴と年収の相関について考察してみましょう。

年収の伸びが大きい”大学卒”

給料は、高学歴なほど、年収は増大しています。

また、大学卒以上の年収の高さは非常に顕著です。

中学卒~短大/高専卒において、10代(短大卒は20歳)から50歳まで緩やかに年収が増えていきます。

一方の大卒は、20代後半から急峻に給料が伸びていきます

全年齢とも55歳からフラットとなり、60歳から落ち込んでいきます。

これは、55歳以降で早期退職を決断する人が出始め、60歳になると定年や重要ポストからの退任などの影響が大きくなるためです。

 

参考:各年齢層における学歴別の平均年収

下記表は、先の図「年齢層ー平均年収」の詳細となります。

 年齢レンジ 大学以上(万円) 高専・短大(万円) 高校卒(万円) 中学卒(万円)
10~19 256 253
20~24 325 301 282 279
25~29 371 336 317 307
30~34 441 366 348 339
35~39 511 392 378 376
40~44 584 421 405 389
45~49 648 454 428 404
50~54 733 475 439 400
55~59 722 469 439 410
60~64 544 381 344 334
65~69 519 358 314 303
70~ 573 352 297 294

※)厚生労働省「付表1 学歴、年齢階級、性、企業規模別賃金」および「令和元年 令和元年夏期/年末賞与の支給状況」より推測値を算出 

 

生涯賃金も大学卒以上が優位

中学卒や高校卒の労働者は早くから就業することになります。

高卒は大卒に比べて4年、中卒に至っては7年早く就職して、収入を得ています。

では、生涯賃金ではどのような結果となるのでしょうか。

 

下表は、65歳定年を想定したときの「学歴別の生涯収入」を算出したものとなります。

想定生涯年収

 

このように、大学以上卒の生涯収入が高く、2位の高専・短大卒の実に30%以上の生涯賃金差が生じています。

2位の高専・短大卒となり、高校卒と中学卒は生涯賃金差は生じないようです。

 

大学以上 高専・短大 高校卒 中学卒
想定生涯賃金(65歳定年) 2億3747万円 1億7980万円 1億7416万円 1億7447万円

 

 

大学卒の生涯賃金は、30代前半に高校卒を超え、30代後半で中学卒を超える

生涯賃金(損益分岐)

上記グラフは、累積賃金を示したものとなります。

各番号ごとに説明すると、

  1. 大学卒が高校卒・高専/短大卒の累積賃金を超えるのが30代前半頃
  2. 大学卒が中学卒の累積賃金を超えるのが30代後半頃
  3. 高専/短大卒が中学卒の累積賃金を超えるのが50代前半頃

となります。

なお、高校卒は中学卒を大きく超えることはありませんでした。

 

大学にかかった学費は、3年程度で元が取れる

よくある議論として、大学の学費が勿体ない/高価であることを理由に、高校卒で就職するケースがあります。

 

もちろん、経済的な理由で大学進学を断念するケースは仕方がありません。

また、就職活動が成功して高卒を選択するケースは最適な選択肢なのかもしれません。

 

ただ、それ以外の理由ではあまり短絡的に考えないほうがいいでしょう。

 

仮に大学にかかる費用が500万円だとした場合。

先の図表では、平均年収ベースで32歳頃に高校卒の累積年収を抜き、35歳頃に大学卒の累積収入が、高校卒よりも500万円の差が生じます。

つまり、大学費用は3年程度で元を返せる(=ペイ)できるということです。

 

 

大企業と中小企業との平均年収差

では、企業規模と年収差はどれくらいあるのでしょうか。

年収推移-企業規模別

上図より、大企業は中企業に比べて、最高年収ベースで22%程度高く小企業と比べて44%高い結果となりました。

企業体力や収益性が、収入差に顕著に表れている結果といえます。

また、大学卒の就職では、大企業が好まれる傾向にあります。

一方で、中小企業では優秀な学生の採用が難しいという声が聞かれます。

このように、大学卒以上の人員が大企業に偏在化していることも、平均年収の差に表れている可能性があります。

 

参考:企業規模別の平均年収

下記表は、先の図「年齢層ー企業規模別の平均年収」の詳細となります。

年齢層 大企業 中企業 小企業
10~19 266 257 261
20~24 316 300 293
25~29 380 347 339
30~34 455 396 381
35~39 524 446 421
40~44 581 492 455
45~49 636 535 478
50~54 706 571 489
55~59 687 576 485
60~64 456 441 413
65~69 410 382 354
70~ 381 366 339
平均年収 544 462 425
平均年齢 42.9 43.5 45.6

※)厚生労働省「付表1 学歴、年齢階級、性、企業規模別賃金」および「令和元年 令和元年夏期/年末賞与の支給状況」より推測値を算出 

 

 

都道府県別 平均年収

次に都道府県別の想定平均年収を算出しました。

 

ご想像の通りかもしれませんが、東京が最上位になります。次に同経済圏の神奈川が入ります。

次に中京都市圏から愛知県、京阪神都市圏から大阪、の順にランクします。

 

一方で、下位には九州地方・東北地方の割合が高くなります。

傾向として、人口流入の大きい大都市圏で平均年収が高く、それ以外で低くなるということになります。

上位の東京と、下位の青森でおよそ1.6倍の差が生じています。

 

都道府県 想定平均年収
東京都 620
神奈川県 560
愛知県 544
大阪府 541
滋賀県 504
兵庫県 501
三重県 498
茨城県 494
京都府 489
広島県 486
栃木県 480
奈良県 479
埼玉県 478
千葉県 478
群馬県 470
静岡県 469
福岡県 466
宮城県 463
山梨県 462
岡山県 462
岐阜県 460
長野県 459
458
山口県 458
和歌山県 451
北海道 446
福井県 445
富山県 439
香川県 438
徳島県 437
新潟県 418
福島県 415
愛媛県 414
大分県 414
島根県 413
熊本県 406
高知県 406
鹿児島県 404
長崎県 398
佐賀県 391
岩手県 391
山形県 388
鳥取県 387
秋田県 379
宮崎県 379
沖縄県 377
青森県 371

※)厚生労働省「付表1 学歴、年齢階級、性、企業規模別賃金」および「令和元年 令和元年夏期/年末賞与の支給状況」より推測値を算出 

 

 

まとめ

いかがだったでしょうか。

今回は平均年収をあらゆる角度から確認すると、様々な社会問題が浮き彫りになっていませんでしたでしょうか。

そして、この特性を掴みながらキャリア形成を考えることも、一つの有効な選択肢となり得そうです。

次回以降は、このデータを元に、キャリア形成や社会問題に関して考察してみたいと思います。

 

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